ドーピングがなぜ禁止なのか

ドーピングがなぜ禁止なのか

スポーツに於いてドーピングが禁止であることは誰もが知るところでしょう。

ドーピングにもさまざまな種類があり、筋肉増強に使われるアナボリックステロイドの他にも、持久力促進であったり精神性の亢進剤であったりと多岐にわたります。

ボディビルという世界では、その業界の発展とアナボリックステロイドは密接に関係してきました。

そして現在の日本のボディメイク界でも、アナボリックステロイドの蔓延が進んできています。

トップアスリートにとっての禁じ手であったドーピングが、いまや身近な存在になりつつあることに違和感を覚えます。

ここでは、なぜドーピングが禁止されているのかを今一度再考します。

なぜドーピングが禁止されているのか

公平性の欠如

薬物使用による身体能力の底上げは、スポーツの公平性に反するという非常にシンプルな話です。

この点に於いて疑問は生じないかと思います。

IFBB PROやFWJのアナボリックステロイド蔓延については、薬物を使用することを前提とした公平性という、不思議な暗黙のルールが存在しています。

それゆえに「ボディビルはスポーツではない」とも言われています。

健康上のリスク

スポーツで禁止されているもう一つの理由が、身体にとって危険であるからです。

身体が本来許容できる以上の量の物質を体内に直接注入することになるので、身体には大きな負担となります。

アナボリックステロイドの場合、心臓や内臓の異常肥大を起こすことで臓器不全になったり、それに伴って合併症のような状態で生活に影響が出るようになります。

突然死も少なくありません。

身近になるドーピング

ドーピングはトップアスリートが禁じ手と使用するものでしたが、昨今では誰もが入手できるような時代になりました。

法規制が行き届いていないので蔓延しているのですが、当然それなりに問題はあります。

同時蔓延する自己責任論

法規制されていないゆえに、身体へのリスクも含めて自己責任である、との考え方が割と支持されています。

しかし健康を害した時に治療を受ける場合、それは社会保障に頼る形となります。

原因に対しての結果に責任を持つ、という意味で自己責任を掲げるのであれば、日本の医療制度に乗って治療を受けることはアンフェアです。

アメリカのように、全額自費治療を受けるというのであれば自己責任と言えるでしょう。

アナボリックステロイドが蔓延しているアメリカのボディビル界とは社会背景がそもそも異なっています。

安全にやれば平気、という欺瞞

クリニック監修のもとで、定期的な血液検査や薬品でリスクを減らす方法が広がりつつあります。

エステ感覚で美容整形が広がっていっているのと同じように、体型も医療技術でなんとかしようという浅はかな考えです。

安全性をいかに謳おうとも、そもそも外部からの多剤投与は健康的ではありません。

何を以って安全を語っているのかも微妙なところです。

“補償”で受け入れられるのか

例えば安全にアナボリックステロイドの処方をして、リスクに対しても補償しますとクリニックから提示されたとします。

そこで健康被害が発生したとして、本人に補償されるのはあくまで補償金のみです。

お金は支払われますが、失った健康状態は2度と取り戻せないでしょう。

真の意味で取り返しがつかない状態になった時、当事者は本当に自己責任だと受け入れられるのでしょうか。

アナボリックステロイド使用のボディビルダーはそれも覚悟している、と美談に語られますが、覚悟があるなら医療費は全額自己負担するのがスジでしょう。

まとめ

ボディメイクの世界でここまでドーピングが蔓延していったことには違和感を感じます。

SNSによる行き過ぎたルッキズムの結果と言えるかもしれません。

一番割りを喰っているのは、ドラッグフリーで真面目にボディメイクをしている層かもしれません。

彼らは結果では薬物利用者には勝てませんし、結果を出せたとしても薬物利用を疑われるという悲しい立場に置かれます。

ゆえに、ドーピングはシラけると言うのです。

さて、これから量産されるであろうドーピング使用者たちは、自身と社会に対して、どの程度”責任”を取ることができるのでしょうね。


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