数字だけに囚われるな

数字で出るデータは客観的で正直な面もありますが、絶対的なものではありません。
数字の扱いは実のところ難しく、解釈次第でいかようにも印象を操作できます。
解釈を誤って数字にのみ囚われている人も多く、また意図して技術的に誤解を与えるため数字を利用する詐欺師もたくさんいます。
体づくりに於ける数字
ボディメイクでは食事・運動・休養が大切と言われ、それぞれある程度の数的測定が可能となっています。
細かく分化すれば色々ありますが、大きく以下のようなものが挙げられます。
- 体重
- 体組成
- カロリー
- 使用重量
- 総負荷量
- 睡眠時間
体重について
最も一般的な指標ですが、それゆえに誤解が生じやすい数字です。
主にダイエットの際に使われる数字ですが、多くの方が気にしているのは体脂肪量がいかに増減したかのはずです。
しかし体脂肪や筋肉は日々の変化が大きくなく、1,2日での変化が大きいのは内容物や水分などです。
また体重では中期的に見ても内訳の変化が分かりません。
体重は変わっていないのに、見た目はスッキリと痩せてきているなんてこともままあります。
トレーニング初心者は筋肉量の増加と体脂肪の減少が同時に起こるタイミングがありますが、筋肉の方が比重が大きく、脂肪の方が体積が多いです。
そのため体重としては、増えた筋肉量と減った体脂肪量の差し引きであまり痩せていないように見えることもあります。
実際にはダイエットが順調でも、数字だけを見ていると失敗していると感じることも。
最も手軽な指標であるが故に、欠点も多いことは理解して観測しましょう。

体組成について
体重の測定課題を解決するために、体組成計を用いて測定することもあります。
この方法では筋肉量や体脂肪量、骨量なども把握でき、最新のものでは部分別のデータも取ることができるので優秀そうに見えます。
しかし体組成計は、入力した性別・年齢・身長・体重をもとに用意されたビックデータを参照し、ある程度のアタリを付けて電気で測定をしています。
高精度なものというのは、ビックデータの量が多く、電極数も多いので比較的”外しにくい”というだけのことです。
元々身長体重比がおかしくなっているボディビルダーなどが測定すると、体脂肪率20%超えなど、見た目からはありえない数字が出ることもあります。
普通に測っていても、1日で体脂肪率5%前後の測定誤差はよく生じます。
最高精度の体組成計でさえ±5%の誤差があると言いますから、いい数字の時は喜んで、悪い数字の時はタイミングが悪かったと解釈する程度の図々しさはあってもいいでしょう。
カロリーについて
摂取カロリーの計算やPFCバランスなど細かく数字を見て体重コントロールをすることもあるでしょう。
しかしこれも多少のブレは許容して然るべきです。
割り出された数値など所詮は理論値でしかありませんし、数字が上ブレしても下ブレしてもそんなに結果は変わりません。
体づくりが継続である以上、大局的に見てコントロールできていればいいのです。
今日はどうだったとか、記録や反省はしながらも、雁字搦めの制御はやめておいた方が精神的にも肉体的にも良い結果を導けます。
使用重量について
筋肥大に於いて成長の指標としてモニターしやすい数値です。
日常的にMRIや超音波で筋肉の大きさを測ることはできませんので、使用重量の向上は、(その要因が神経発達であれ筋の生理学的横断面積の増加であれ)一般的に唯一頼れる指標となるでしょう。
ただし挙上フォームであるだとか可動域であるだとかの”前提”が揃っていることが条件になります。
コンディションによっても使用重量は変わるので、こちらも大局的に捉えていくべきでしょう。
必ずしも筋肥大に重量は必要ありませんが、消去法で採用すべき指標と考えられます。
総負荷量について
筋肥大の要諦は総負荷量の確保にあります。
しかしとにかく量を増やせば良いというものではありません。
総負荷量には、自身にあった”スイートスポット”が存在します。
少なすぎては維持・衰退になりますが、多すぎても向上は見込めません。
現在のレベルと回復力などによってベストな総負荷量が変わると考えられます。
多くの方の場合は、生活から捻出できる可処分時間に限りがありますので、多すぎる方を心配する必要はないかと思います。
時間を自由に使えるタイプの仕事に就いているボディビルダーなどは、少し注意した方がいいかもしれません。
睡眠時間
個人差によって6~8時間寝ることが推奨されています。
睡眠は質より量です。
しかしアルコールを摂取しているだとか、翌日のイベントで緊張状態にあるだとか、寝苦しい部屋だとかで質が低下していると、推奨の睡眠時間であっても不足となることがあります。
またアスリートレベルになると睡眠時間は10時間程度まで伸ばした方が良いとも言われています。
逆に高齢者は6時間を下回るようにした方が、健康のためには良いともされています。
睡眠時間についても絶対的な数字がないので、個人の体質や環境も考慮しながら日々調整をしていくことが大切です。
まとめ
数字は本来抽象的であるものを一般化して考えるのには非常に便利です。
しかし必ずしも数字が表す「1」が、現実の「1」と同質にはならないことは覚えておきましょう。
良い意味での「いい加減さ」や「適当さ」を持って取り組んでいきましょう。