AIフィットネスが今のところうまくいかない理由

オープンAIの登場から、世の中では多くのことに対してAIの導入が検討されるようになりました。
フィットネスの分野でも導入を試みる動きがありますが、いまひとつ流行っていきません。
なぜ現段階でのAIフィットネスが難しいのでしょうか。
良質な指導のデータが足りない
トレーニング種目とその結果について、科学的には一般化が進んできてはいます。
しかしそれらを現状のトレーナー陣が正確には把握していません。
また人に教える際の的確なスクリプトというのも未確立で、身体動作をどうAI側が伝えるのかは課題になります。
優れた指導力を持つトレーナーの集合知が結実すれば、いずれAIでも良質な指導ができるかもしれません。
もしかすると、何を以って「優れた指導力」とするのかも課題かもしれません。
利用者が現状を正確に入力できない
AIはあくまで演算ですので、前提として入力されたデータが誤っていれば、誤った結論に帰着します。
利用者が自身の身体状況を正確に捉えることがそもそも難しいかと考えます。
現段階ではアンケート形式であったりする入力項目を、カウンセリング式にしたりしてそれに対応できる程度まで学習が進めば、AIで良い結論が導けるでしょう。
動作エラーなどをまだ判定しきれない
トレーニング種目の動作などの修正はまだしてくれません。
正確なトレーニング技術の集積と、カメラを利用した動作解析がより進めば対応可能になるかもしれません。
後者については、スマホ2台を利用した動作解析技術がリリースされています。
VBTなどでバーベル軌道をデータ化することも可能になっています。
動作データの取得自体は技術次第で伸びていきそうですが、ビックデータの集積が課題にはなるでしょう。
骨格や体格など必要なビックデータが足りない
正確なトレーニング技術を集積するにあたって、トップアスリートらの動作データを集めて一般化するという方法があります。
しかしどうしても骨格や体格の差が生じるので、必要なビックデータはかなり多くなるでしょう。
個人の動作の癖や前提となる能力レベルの差もあるので、骨格や体格の近いトップアスリートの動作をトレースすることが最良の結果を産むとも限りません。
しかし不可能でもないかなという感じではあります。
意志やモチベにまだ働きかけられていない
大抵の場合トレーニングの難敵は、技術そのものよりも継続するための精神力だったりします。
現状のAIではモチベーターになるのは難しいでしょうが、いずれ感情のアルゴリズムも学習して対応できるようになるでしょう。
ただしそれを受け取る人間側が、その向こう側に誰もいない・真に感情がないことをどれだけ受容できるかが、実は結構大きな壁になるのではないかと考えています。
今はAI生成の音楽やイラストで起こっている事象なのですが、感動の先に何もないと分かると、人は混乱してしまうようです。
トレーニングで得られる達成感や身体感覚に対しての感動体験などを、共有する「人」がいるというのも、実は大切な要素です。
感情面はAIにとって大きな課題になるでしょう。
まとめ
AIが今のところ上手くいっていない理由と、将来性について考えました。
技術自体は今後もっと便利になる可能性は高いでしょう。
しかしAI英会話などを見ても分かる通り、やるのは人間なので、技術がどこまで伸びても結果を出せるかは本人次第です。
そこまで仕組み化できれば、大当たりのコンテンツになり得るかもしれません。
肉体を持たないAIが、肉体的な感覚を学習していけるのか、利用者に感覚共有していけるのか。
10年後はどうなっているのでしょうね。