多剤医療と過剰医療

世界の薬品のうち、約30%が日本で使用されていると言われています。1
日本人の人口は世界の2%程度ですから、先進各国を含めて世界シェア3割はどう見ても異常な数字です。
よく言えば恵まれた環境にあると言えるでしょう。
背景の一つとしては、非常に充実した医療保険制度の存在があります。
何かあれば医者に行き、超低コストで薬を処方してもらえます。
一般的に、薬を混合した場合の副作用予測は2種類までしかできないと言われています。
例えば高血圧の薬と認知症の薬を処方されていたとして、ここまでは副作用の予測がつきます。
しかしそこに心臓病の薬やら、肝臓の薬やらと3種類以上の薬が入っていくと、それらの成分が体内でどう相互に作用するのかは予測が立たなくなるようです。
多くの薬を服用した結果、何か良くない作用が働いていることもあると言われています。
多剤医療の現実をどう捉えるかは個人の判断ですが、使わなくて済むならそれに越したことはないはずです。
遠隔手術ロボット ダヴィンチや重粒子線治療、再生治療など、非常に高度な医療技術が発展しています。
これ自体は大変素晴らしいことですが、これも利用しなくて済むのであればその方がいい。
健康は失った後で取り戻すのはとても骨が折れます。
文明の知恵はありがたく利用しながらも、ベースとしては自ら健康の維持に努めていく姿勢が必要でしょう。
- 薬学研究院附属薬食研究推進センター長 山田静雄特任助教(静岡県立大学大学院薬学研究院) 提供 ↩︎