健康に保険は利かない

日本は平均寿命が世界的に長く、健康大国として認識している方も多いことでしょう。
COVID-19を契機に、元々の超高齢化社会もあって健康への意識は以前よりも高まっていっていると言えます。
今回は日本社会における健康への認識について、考えてみたいと思います。
過剰医療
日本人の平均寿命が長いのは、過剰医療のおかげです。
健康寿命が尽きた後、要介護や寝たきり状態で10年は延命します。
薬は世界シェア率は脅威の30%です。
70億人の人類のうち、たったの1億人しかいない日本人が、世界中の薬の3割を使っています。
医療技術の発展や、それによる延命技術などは評価されるべきです。
しかし同時にこれらの高度医療が潤沢な状態は、予防医学の視点を弱らせてしまっている現状です。
健康を害しても、それに対する対応策があると感じてしまいますが、実際のところ一度健康を損なうと割と取り返しがつかないこともあります。
医療サービスや薬は、健康なまま使わないで済むのであればその方が良いのです。
保険システム
国民健康保険
日本は国民皆保険制度で、2024年現在では通常3割負担、75歳以上では1割負担で医療サービスを受けられます。
世界的に見ても非常に優れた医療保険システムです。
一方で、病気や怪我をすればすぐに病院に頼ればいいと思っています。
この考えが強いと、予防という考えが弱まっていきます。
またこの国では、既得権者が一度掴んだ利権は手放さないような仕組みになっています。
例えば慢性腰痛で整骨院に通う例。
整骨院側は、治さずに通ってもらって治療回数を増やした方が儲かります。
慢性腰痛を抱えた高齢者も、負担額が小さいので、通うことに躊躇がありません。
果たしてその儲け分は、どこからお金が出ているのか。
もちろん現役世代の保険料から捻出されています。
(以前はもっと酷かったのですが、制度改正で現在ではまだ少しマシになったようです。)
優れた医療保険システムにすがり切った結果、医療費はどんどん圧迫されていきます。
民間保険
日本人は保険が大好きです。
がん保険や入院特約付き保険など、控除対象になるのもメリットだからと契約していたりします。
(控除対象になったところで、節税額は高が知れていることを保険会社は話しません。)
しかしよく考えて欲しいのですが、癌になったり入院することになったとして、保険はそれを治してくれるのでしょうか?
民間保険にせよ国民保険にせよ、治療費が出るだけです。
大きい病気になれば時間も金も労力もそれなりにかかるります。
そのくせに、完治しないこともあります。
民間保険に関して言えば、この国には高額療養費制度もありますから、金銭面でも本当に必要なのかは考えた方がいいでしょう。
保険屋も営利企業ですから、よっぽど親切でもない限りそういった情報は隠してしまいます。
健康に保険はかけられません。
多くの方が健康のためにかけている保険料は、治療費に対する保険です。
それは健康な状態への快復を約束するお金ではありません。
予防医学の観点が注目されてきてはいますが、そうだと困る既得権者がたくさんいます。
メタボはそもそも病気ではなくリスク指数でしたし、血圧の基準もどんどん下がりました。
基準値を下げて病人を増やせば、治療費と薬代がたくさん消費されて儲かります。
大病を患えば、時間もお金も労力もかかるうえに、最悪完治しません。
自分の健康は自分で守る努力をしましょう。
フィットネス参加率
フィットネス参加率は、アメリカで10%を超えるのに対して、日本ではよくて4%程度です。
これは先述の通りの医療制度が影響しています。
アメリカは「小さな政府」を体現した、基本的には自助努力の国です。
医療保険制度もないので、医療サービスは全額自己負担で受けなければなりません。
そうなると病院は非常に高額な、利用しないに越したことはないサービスになります。
そこでフィットネスによる予防という発想が育ちやすいのです。
国によって流行る流行らないの話ではなく、彼らにとって運動習慣は必要な健康投資なのです。
「大きな政府」である北欧圏でも、運動習慣は奨励されます。
そう見てみると、語弊を恐れず言うならば、日本の医療制度は優れていると同時に、過保護とも取れるでしょう。
健康は基本的には自助努力
よくある例えです。
あなたが乗っている車を、生涯もう買い替えることができないとしたら?
きっとこまめにメンテナンスして、大切に長く保つように使うことでしょう。
あなたの身体も、それと同じです。
とはいえ最後は確率論、どれだけ習慣を徹底してもダメなことはあります。
しかしその確率を低くすることはできるでしょう。
いまのところ身体の替えは利きませんから、大切にしてください。