筋トレは潰れるまで追い込むべきか

男性は特に、限界までやり切るようなトレーニング、好きだと思います。
多くのトップボディビルダーたちも日頃からそのようなトレーニングを重ねていますし、筋トレはオールアウト(全部出し切る)することが大切と考えている人も少なくありません。
最大努力量で効果を最大限に高めるという発想は非常に大切だと思います。
しかし実際のところ、オールアウトは必ずしも必要ではありません。
この考察には「筋肥大の方程式」を理解しておく必要があります。
筋肥大の方程式
総負荷量 = 重量 × 回数 × セット数 × 頻度
オールアウトの考察
「総負荷量」を最大値まで上げるために、回数やセット数を増やし、自身の限界まで追い込むことをオールアウトと言ったりします。
メリットは当然、それによる総負荷量の限界値近い向上です。
ではデメリットはなんでしょうか?
次の通りです。
オールアウトのデメリット
- 怪我のリスクが上がる
- 練習の頻度が落ちる
- パフォーマンスがしばらく低下する
オールアウトまで持っていくための、最後の数レップでは、怪我のリスクも上がってしまいます。
疲労によってコントロールがぶれたり、無理をして代償動作を発生させてしまったりするからです。
またオールアウトすると回復までに時間がかかり、週あたりの「頻度」を落とす必要が出てきて、結果的に総負荷量が下がることもあります。
オールアウトすると、スポーツ競技などでは出力が一時的に低下するので、パフォーマンス低下につながります。
筋肥大におけるオールアウト
筋肥大の方程式にある通り、週あたりの総負荷量が筋肥大の重要指数です。
総負荷量は 重量 × 回数 × セット数 × 頻度 で決定されますが、オールアウトすることは特に「回数」にフォーカスしています。
そのセットの、限界回数までやって数を稼ぐ方法がオールアウトです。
しかし中には、オールアウトまで追い込むのが苦手という人もいます。
傾向としては女性の方に多いです。
その場合はセット数を増やせば問題ありません。
筋肥大の方程式に従って、高重量でのトレーニングができないのなら、回数とセット数と頻度で調整をすればいいのです・
筋力向上におけるオールアウト
筋力は [ 筋肉の発火頻度(動員率)× 筋肉の生理学的横断面積 ] で決まります。
発火頻度は神経系の適応で向上することができ、高重量・低回数の筋トレで鍛えます。
なかには神経系が非常に適応されており、細身ながらに高出力のスポール選手もいます。
オールアウトしてしまうと神経にもかなり疲労が溜まるため、どうしてもこの発火頻度は落ちてしまいます。
疲労のため練習の頻度も下がりますから、スキル獲得のための反復練習の数も減ってしまうでしょう。
例え疲労状態で反復練習をしたとしても、質の高い技術練習はできないです。
筋力向上を狙うのであれば、筋疲労と神経疲労を抜いて、試行回数を増やしていくべきです。
スポーツ競技者におけるオールアウト
筋力向上と同じく、筋肉にダメージが大きく残った状態での練習は精度が低くなります。
やるべき技術練習の精度が下がり、結果的に競技パフォーマンスが伸びないということになるでしょう。
スポーツ競技者の場合は特に、そもそも筋肥大させるべきなのか、その部位を筋肥大させて良いのかも考えて筋トレに取り組むべきです。
肉体的限界と心理的限界の壁
To Failure(潰れるまでやれ)から Near Failure(潰れるくらいやれ) と言われるようになりました。
しかし初心者は一度、オールアウトを体験しておくべきです。
なぜならNear Failure が本当にオールアウト寸前なのかはやってみないと分からないからです。
これは心理的限界と肉体的限界にギャップがあることから生じています。
運動の経験が少ない人ほど、肉体的限界に比べて心理的限界が低い位置にあります。
自分ではもう無理だと思っていても、身体的にはまだまだ余力があることが多々あります。
この点で言えば、あえてオールアウトさせない方が上級者向きと言えるかもしれませんね。
まとめ
誰もがトレーニングでオールアウトするべきとは限りません。
目的に合わせて調整していくべきところです。
筋肥大において、しっかり考えてやりたい人は筋肥大の方程式に従って、計画的にプログラムを進めることをオススメします。
ただそれはそれで少し難しいので、とにかく追い込んでオールアウトの方が、下手な計画性に優ることもあります。
ご自身の性格に合わせて選んでみるのも良いでしょう。