湿度と疲労

じめじめと湿度の高い日に、体がダルいと感じたことはないでしょうか?
高温多湿な環境下では、運動をしていなくても知らぬ間に疲労を蓄積させてしまっている可能性があります。
汗と湿度
湿度が高い日、よく汗をかくなと感じたことはないでしょうか。
汗は体温の調節機能で、上がりすぎた体内の熱を下げるための機構です。
皮膚に水分を排出することによる直接的排熱と、その水分が気化することによる排熱で体温を下げます。
「湿度が高い」とは大気中の水蒸気量が多いことを指します。
この環境下では、身体からの発汗は僅かであるにもかかわらず、多くの汗をかくという現象が起こります。
これは体内から放出された水分だけでなく、大気中の水分も合わさって皮膚に汗として顕在化した結果です。
疲労感の原因
湿度が高いと疲労感を感じやすくなる一因は、大気中の水蒸気量にあります。
非常に湿度が高い環境下では、飽和水蒸気量にまで到達していることがあり、この状態では皮膚上の水分を気化させることができなくなります。
気化熱による排熱機能が失われることになりますので、体内には熱が篭りっぱなしになってしまいます。
体内に熱が篭っている状態は、身体活動が高い状態に近く、排熱できないことで体内に疲労が蓄積していってしまいます。
高温多湿など最悪の条件と言えるでしょう。
雨季のスポーツ
屋内スポーツの場合、発汗量が多くなると思います。
これも原因は上記の通りで、自分の汗+大気中の水蒸気でベトベトになります。
屋外スポーツの場合、湿度と風通しにもよりますが、雨天時は非常に注意が必要です。
多くの屋外スポーツが雨天でも練習や試合を実施します。
雨に打たれると体温が下がりますので、排熱には問題ないかに思われますが、そんなことはありません。
雨に打たれること自体がコンディショニングとしてはマイナスですし、湿度100%に近い状況ですので、気化熱が非常に発生しにくく体温は篭りやすいです。
屋内・屋外のいずれにしても、疲れやすくなっており、無自覚な疲労は怪我の原因にもなりますので、十分に注意しましょう。
多湿時の対策
では多湿下での運動時は、何に注意すれば良いのか?
こまめに汗を拭き、水分補給をしましょう。
汗を拭くことで表皮の水分量は気化可能な程度まで低下します。
熱を内側に閉じ込めていた汗のコーティングを、こまめに剥がすようにしましょう。
また水分を補給することで、体内からの冷却を図ることも大切です。
多湿時の体温上昇は、外側よりも内側の問題ですので、内部からの冷却は効果的です。
自覚している以上に電解質も喪失している可能性があるので、電解質補給も同時に行うようにしましょう。
まとめ
夏の高温多湿環境下では熱中症に注意が払われていますが、梅雨時期などは意外にも対応が甘かったりします。
練習時や試合当日のコンディショニングでは、天候条件を念頭に入れて対策を行っていきましょう。
もちろん、日常生活においても同様の対策で疲労感の軽減は期待できるでしょう。