【ミラーニューロン】見学はとても有効

みなさんは人間が視覚情報のどれだけ頼っているか、ご存じですか?
人間が受け取る情報のおよそ8割が視覚によると言われています。
トレーニングや動作習得においても、視覚の働きというのは非常に重要です。
人間はやったことのない動作をする時、その動きを体が再現できるようにするため、脳内でニューロンを構築します。
動作用のプログラミングを脳がやっていて、体はそれに従って動作再生しているような感じです。
人体はよくできたもので、未習得の動作を視ることで、脳はその動きに必要なニューロンを勝手に構築してくれます。
この働きはミラーニューロンと言われており、たまにいる運動の天才「見た動きをすぐ再現できる人」はこの働きが優れていると言えます。

この性質が示唆するところは、上級者の動きを見続けることで、上級者のニューロンプログラムを自分にインストールできる可能性があると言うことです。
ただし注意点もあります。
模倣する相手の骨格であるとか、体の使い方が自分に適していなければ、インストールしても意味がありません。
動きがそもそも再現できない体型であったり、レディネス(筋力など能力的な必要要件)を満たせていないとダメなのです。
もっとハッキリ言うなら、いかに優れたプログラムも本体がスペック不足なら作動してくれない、と言うことです。
スポーツや運動で上達したければ、卓越した人の集まる場所に身を置くといいと言われますが、ミラーニューロンの働きも理由の一つです。
上級者がたくさんいれば、自分に適した動作プログラムも見つかる可能性があります。
また指導者は、選手やクライアントに対して一度やり方を見せた方がいいです。
そうすることで、選手らは何をどうすればいいのか、脳で勝手にプログラミングを始めます。
もちろんそのためには指導者がちゃんと出来るに越したことはありませんが、現代なら動画に頼るなど方法はあります。
ただやはり目の前の指導者が動作をできた方が、指導効率は圧倒的に高いです。
以前、トレーニングの原理・原則について記事を書きました。
どうやらソ連での提唱当初、原則には6つ目が存在していたらしいです。
“トレーニングの原則は5つではなく6つあった?その背景を考えてみると”
倉持 江弥 Koya Kuramochi
6つ目の原則は、「視覚教育の原則」と呼ばれていたようです。
昔から見て学ぶこと自体は有効な方法だったことが伺えます。
筆者の考察も肯定ですが、特に筋トレの場合は、初期の動作習得などにおいて「見て学ぶ」ことは重要になるでしょう。
実は現代はミラーニューロンを有効に活用できる過去最高の時代にあるかもしれません。
SNSの普及で、今やトップアスリートの動作をワールドワイドで見学可能になりました。
ただし先述の通り、トレースする相手はちゃんと吟味する必要があります。
ヘタクソやクセのあるニューロンをコピーしたら、後から修正するのが大変になります。
有名な誰かがやっているから、は採用条件としては軽率です。