【筋肥大】効率的なタンパク質摂取方法

筋肉を大きくするには、筋トレによる刺激だけでは不十分です。
筋肉の主原料であるタンパク質の摂取が欠かせません。
では、筋肉を大きくするにあたって、効率の良いタンパク質摂取方法とはどういったものでしょうか?
結論
- 1日のタンパク質摂取量 = 1.6g × 体重(kg)
- 1回のタンパク質摂取量 = 0.3g × 体重(kg)
- タンパク質の摂取タイミング:3時間は空ける
※本文はNSCAジャパン S&Cカンファレンス2023 東海大学 安田純先生の講演をベース、筆者見解を交えて作成しています。
タンパク質摂取量
1日のタンパク質摂取量
1日のタンパク質摂取量
1日のタンパク質摂取量 = 1.6g × 体重(kg)
1日に必要な総タンパク質量は、体重1kgあたり1.2g~2.2gです。
また多くの場合、体重1kgあたり1.62gで除脂肪体重の増加量は頭打ちします。1
個人の体質や、体脂肪率によっても変わりますが、ほとんど多くの人にとって、体重1kgあたり2.2gを超えるタンパク質摂取は無駄となってしまう可能性が高いです。
1回のタンパク質摂取量
1回のタンパク質摂取量
1回のタンパク質摂取量 = 0.3g × 体重(kg)
筋合成を最大化するには、1回で体重1kgあたり0.31gのタンパク質摂取が望ましいです。
多くの場合で、体重1kgあたり0.2g~0.32gのタンパク質摂取で筋合成反応は頭打ちします。2
外れ値に当たる人でも、0.4g程度です。
1回のタンパク質摂取での筋合成には上限があると認識しておきましょう。
余剰分はエネルギーとして燃焼・対外へ排泄・体脂肪として蓄積のいずれかになります。
タンパク質の摂取タイミング
タンパク質の摂取タイミング
3時間は空けるのが適切
筋合成反応を継続させ続けることは難しく、休憩が必要そうだということがわかっています。3
従来の見解である「3時間おきのタンパク質補給」と結論は同じですが、これは血中アミノ酸濃度を高く保つためではなく、合成反応を一度完了させる必要がありそうだからです。
ですので、「3時間経ったら入れる」ではなく、「3時間以上空ける」という考えを持つようにしましょう。
シミュレーション
体重70kgとして
- 1日の総タンパク質摂取量:1.6g×70kg = 112g
- 1回でのタンパク質摂取量:0.3g×70kg = 21g
- 3~4時間おきに1日5回のタンパク質摂取が最高効率となります。
FAQ
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プロテインは筋肥大に必要なのか?
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まずは通常の食事からタンパク質を確保できるようにしましょう。
その上で1日あたりの総タンパク質量が不足する場合はプロテインを使用します。
仕事中や運動直後などで、固形物を摂取することが難しいタイミングなどに適しています。
あくまでもサプリメントは栄養補助の役割ですので、食事で栄養摂取が完了している場合は必要ありません。
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プロテインのゴールデンタイムは?
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“運動直後30分以内のプロテイン補給”については無視して構いません。
この前提として、運動後30分で成長ホルモンのピークが来るので、そこに合わせてタンパク質を入れれば筋合成が効率的になるだろう、という考えがありました。
確かに成長ホルモンは運動30分後にピークを迎えますが、そもそも成長ホルモン分泌が筋合成に作用するかは懐疑的となっています。4
また運動直後にプロテインを摂取したとしても、小腸まで届いて体内に吸収するまでに30分では間に合いません。
よってこのタイミングを外してしまっても、他でタンパク質が摂れているのであれば問題ありません。
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ボディビルダーが1日に体重×3gと言っていた
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ほとんどの場合は体重1kgあたり1.2g~2.2gのレンジになりますが、例外は存在します。
トップボディビルダーの多くが、何かしらの要素に於いて、統計学上のハズレ値に当たる個体ですので、一般化して話すことがそもそも間違っています。
自身には何g程度が適切かは、摂取量を調整してみて便の様子を観察すると分かります。
大便やオナラがあまりに臭いようでしたら、腸内で吸収できなかったタンパク質が腐敗している可能性があります。
この場合はタンパク質の摂りすぎということになりますので、量を減らしましょう。
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常に血中アミノ酸濃度を高く保つべき?
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摂取タイミングの項でも述べたとおり、血中アミノ酸濃度を高い状態で保ち続けても、残念ながら筋合成は継続しないことが分かっています。7
こまめにEAAやBCAAを摂っても、あまり意味はないでしょう。
まとめ
体づくりは別に最高効率を叩き出すゲームではありませんので、個人にとってやりやすいやり方をしていただければと思います。
これを機に、いま飲んでいるプロテインやサプリメントは本当に必要なのか、無駄な使い方をしてしまっていないかを再考していただければ幸いです。
- Morton et al. Br J Sports Med.2018 ↩︎
- Moore Front Nutr. 2019 ↩︎
- Areta et al. J Physiol. 2013 ↩︎
- Mitchell CJ, Churchward-Venne TA, Bellamy L, Parise G, Baker SK, Phillips SM. Muscular and systemic correlates of resistance training-induced muscle hypertrophy. PLoS One. 2013 Oct 9;8(10):e78636. doi: 10.1371/journal.pone.0078636. PMID: 24130904; PMCID: PMC3793973. ↩︎
- Devries et al. Sports Med. 2018 ↩︎
- Kwon et al. Eur J Nutr.2022 ↩︎
- Bohe et al J Physiol. 2001 ↩︎