筋トレは筋肉を硬くする!?


筋トレってしすぎると筋肉が硬くなるよね
だから筋トレ嫌いなんだよね〜……

実は科学的にはそうでもないんです!
「筋トレをすると筋肉が硬くなる」
直感的にそう感じている方も多いと思います。
実際、トップアスリートでさえそのように訴えることもあります。
しかしこれまで、このトピックスについてたくさんの研究がされきていますが、その中で筋肉が硬くなると明言している研究は1件のみ。
ほとんどの研究が、筋トレで筋肉の硬さは変わらないと報告されています。1
むしろ、筋肉をグッと伸ばす伸張性トレーニングでは、関節可動域が増加するともいわれています。
このように現場で言われていることや主観的感覚と実際の科学は異なことがあります。
これまで筋トレを嫌っていた人も、筋トレしてもしなくても筋肉の硬さは大きく変わらないので、安心してしっかり筋トレしていきましょう!
では、筋トレで筋肉を柔らかくすることはできるのでしょうか?
筋トレで筋肉を柔らかくするには?
筋トレをしても長期的には筋肉は硬くならない可能性が高いです。
では、筋トレでむしろ筋肉を柔らかくすることはできるのか?
近年の研究では、やり方によっては筋肉を即時的に柔らかくできると言われています。2
そのやり方とは、筋トレでもストレッチングのように筋肉を長い時間をかけてグッと伸ばすことです。
これにより一部の筋肉は即時的に柔らかくなります。
筋トレのストレッチポジションで、時間をかけてネガティブ動作を行うことで、筋肉が柔らかくなると期待されています。
(例)スティッフレッグデッドリフトの場合
- バーベルを、膝の下から足首までの範囲で下ろす
- 5秒間かけて下ろす
スティッフレッグデッドリフトの場合、柔らかくなる可能性の高い筋肉はハムストリングス(もも裏)です。
ダンベルフライで大胸筋の柔軟性を向上させるなど、応用も効くかと予想されています。
このように筋トレと一口に言ってもやり方によって、筋肉は一時的に柔らかくもなります。
筋肉が硬くなるから筋トレ嫌いな人は、この方法を取り入れると良いかもしれません!

ただし、長期的に柔らかくなるかどうかについては現在研究中です。
今後の研究をお楽しみにしておいてください。

体が硬い=筋肉が硬い、とは限りません。
可動域が制限されるパターンには、筋膜の癒着や関節整合のズレ、筋肉痛や疲労による自主的な動作抑制などもあります。
根本的な問題が「筋肉の硬さ」なのかも検討の余地があるでしょう。
- Dankel SJ, Razzano BM. The impact of acute and chronic resistance exercise on muscle stiffness: a systematic review and meta-analysis. J Ultrasound. 2020 Dec;23(4):473-480. doi: 10.1007/s40477-020-00486-3. Epub 2020 Jun 12. PMID: 32533552; PMCID: PMC7588572.
- Kawama R, Hojo T, Wakahara T. Acute changes in passive stiffness of the individual hamstring muscles induced by resistance exercise: effects of muscle length and exercise duration. Eur J Appl Physiol. 2023 Mar;123(3):655-666. doi: 10.1007/s00421-022-05092-1. Epub 2022 Nov 17. PMID: 36394605.