力 ≠ パワー

力とパワーは同義で扱われることが多いですが、実際は別のものです。
一応、物理で教わっているはずなのですが、グローバルに混同されています。
力(strength)は、そのままシンプルに力を示しています。
厳密な定義をすると面倒なのですが、筋力トレーニングに於いてはざっくり使用重量だと思っておいて差し支えないです。
純粋に発揮される力をそのものを意味しています。
パワー(power)は力×速度で示されます。
筋力トレーニングに於いては、使用重量×挙上速度と考えられます。
多くのスポーツに於いては、素早く大きな力発揮をする必要があるので、パワーの方が重視されます。
短い時間の中でいかに大きな力発揮がなされるかを意味しています。
ボディメイク系のトレーニングでは、あまりスピードは重視されていません。
シンプルな筋発揮能力が向上すれば、その分筋肥大も起こっているだろうという見立てでプログラムを進めていきます。
そこに素早くあげるという要素は特別に必要とはならないのです。
対してスポーツ系のトレーニングでは、スピードがとても重要になることが多いです。
とりわけ瞬発系スポーツに於ける力発揮は、名前の通り一瞬です。
ゆっくりと力をかけてでも動作させれば良いというものではありません。
どれだけ力が強かったとしても、それをその一瞬でどれだけ発揮できるのかは話が変わってきます。
力とパワーの混同が最も明確なのは、リフディング競技でしょう。
パワーリフティングとウェイトリフティング(重量挙げ)です。
前者はBIG3の総重量を競う競技であり、テクニックとかは諸々あるにせよ、筋力そのものを数値化している競技になります。
後者はスナッチとクリーン&ジャークの総重量を競う競技であり、いずれも高重量のバーベルを頭上まで挙上します。
これには純粋な筋力はもちろんのこと、それを素早く扱うパワーが必要となります。
この二者は、実際にやっていることと名称が全くの逆になっているのです。


まとめ
それぞれの目的に合わせて、どの種目を選択するかが重要です。
ボディメイクが目的であれば、ほとんどの場合スピードなど不要です。
クリーンやスナッチなどを取り入れる必要はないでしょう。
競技力向上を目的とする場合は、競技によってはクリーンやスナッチも取り入れるべきでしょう。
ただし筋力向上のトレーニングより優先すべきと言うわけではありません。
パワー=力×速度ですので、スピードが関与しない筋力トレーニングも取り入れていく必要があります。
これは期分けに即して、本番となる大会から逆算し、計画的に向上させていくべきでしょう。