【筋肥大向け】全身法での筋トレ方法を徹底解説(メニュー例あり)

下記の科学的根拠に基づき、筋肥大を目的とした全身法での筋トレ方法をまとめていきます。
科学的知見
全身法といえど毎日同じメニューである必要はありません。
全身法と分割法ではそれぞれにメリット・デメリットがありますので、トレーニングレベル毎にどちらがオススメかに即してご説明します。
全身法と分割法に明確な優劣はなく、各自にとって継続しやすいことが大切です。
よくある疑問・質問は記事下部にFAQでまとめておきます。
※トレーニングレベルには個人差があり、「トレーニングを始めて何ヶ月」とかがあまり良い指標にならないので、自己申告性でお願いします。
初心者の全身法について

全身法がオススメ
筋トレで追い込める限界値がまだ低いので、全身法で追い込みと回復を高頻度で繰り返すことがオススメです。
中上級者に比べて、単一の部位のオールアウトに時間はかかりませんし、回復時間も多く必要になりませんので、分割法より全身法が総負荷量を稼げる可能性が高いです。
またトレーニングの動作(フォーム)習得など、スキル面の成長も必要な局面ですので、頻度を優先するべきです。
初心者向けのメニュー例
フリーウェイト/マシンウェイトは各自のトレーニング環境で選択してください。
※両方をやる必要はありません。
週2~3回の場合
週4回以上の場合
A→Bを交互に繰り返しておこなう。
Aメニュー
Bメニュー
部位 | フリーウェイト | マシンウェイト |
---|---|---|
【胸】 | ベンチプレス | チェストプレス |
【脚】 | ルーマニアンデッドリフト | シーテッドレッグカール |
【背】 | ベントオーバーロウ | ローロウ |
【腹】 | サイドレイズ | ラテラルレイズ |
中級者の全身法について

基本的には、まだ全身法がオススメ
週4~5回以上トレーニングするのであれば、分割法も検討する
筋トレで追い込める限界値が上がっているので、全身法を採用する場合は、各部位を分割的に考えます。
胸だと上部/中部/下部、肩だと前/横/後、といった感じで、幅広い種目を用いて多角的に刺激を与えられるようになります。
分割法と比較すると、後半に配置されるような種目も筋力がある状態で取り組めるので、使用重量が増し総負荷量が稼げることが多いです。
ただしトレーニング頻度によっては疲労が蓄積しすぎることもあるので、特に週4回以上トレーニングする場合は疲労管理能力が必要となります。
※週5回以上のトレーニングをするのであれば、分割法に移ってもいいですが、5分割以上の細かい分割は結果的に週当たりの総負荷量を減らす可能性があることを念頭に置いておきましょう。
中級者向けのメニュー例
フリーウェイト/マシンウェイトは各自のトレーニング環境で選択してください。
※両方をやる必要はありません。
マシンウェイトも選択可能ですが、BIG3(スクワット、ベンチプレス、デッドリフト)は優先的に採用しましょう。
週2回の場合
部位 | フリーウェイト | マシンウェイト |
---|---|---|
【脚】 | スクワット | レッグプレス |
【胸】 | ベンチプレス | チェストプレス |
【胸】 | ダンベルフライ | ペックフライ |
【背】 | デッドリフト | ローロウ |
【背】 | チンニング(懸垂) | ラットプルダウン |
【肩】 | サイドレイズ | ショルダープレス |
【腹】 | アブローラー | アブドミナルマシン |
週3回以上の場合
Aメニュー
部位 | フリーウェイト | マシンウェイト |
---|---|---|
【脚】 | スクワット | レッグプレス |
【脚】 | ルーマニアンデッドリフト | シーテッドレッグカール |
【胸】 | ダンベルフライ | ペックフライ |
【背】 | ベントオーバーロウ | ローロウ |
【肩】 | ショルダープレス | ショルダープレス |
【腹】 | アブローラー | アブドミナルマシン |
Bメニュー
部位 | フリーウェイト | マシンウェイト |
---|---|---|
【胸】 | ベンチプレス | チェストプレス |
【胸】 | ダンベルプレス | チェストプレス |
【脚】 | ブルガリアンスクワット | レッグプレス |
【背】 | プルオーバー | プルオーバー |
【肩】 | サイドレイズ | ラテラルレイズ |
【腕】 | アームカール | バイセップカール |
Cメニュー
部位 | フリーウェイト | マシンウェイト |
---|---|---|
【背】 | デッドリフト | ローロウ |
【背】 | チンニング(懸垂) | ラットプルダウン |
【脚】 | シシースクワット | ヒップスラスト |
【胸】 | インクラインベンチプレス | インクラインチェストプレス |
【肩】 | リアレイズ | リアデルト |
【腕】 | フレンチプレス | プレスダウン |
週4回以上の場合は疲労管理しながら、上記のメニューをA→B→C→A…の順に繰り返す。
上級者の全身法について

分割法のほうが現実的で運用がしやすい
疲労・時間の管理が容易なライフスタイルであれば、全身法でもよい
筋トレで追い込める限界値が高いと同時に、1種目でも上手く対象筋を追い込める技術が習得されている状態です。
全身法を採用する場合、各部位を日によって1~3種目、量を調整して取り入れることで疲労管理をしつつ、メイン種目の使用重量を落とさないよう工夫していくことが大切です。
使用重量も大きくなるので、筋肉以外にも関節や神経への負担も増し、疲労の管理にはさらに気をつかう必要性が増します。
また使用重量が大きくなるとウェイトのセットの時間とインターバル時間が長くなりますので、トレーニング全体の時間も長くなりがちです。
全身法では、後半に配置されるような種目も筋力がある状態で取り組めることができ、使用重量を伸ばすことができます。
疲労管理や時間管理が的確にこなせるのであれば、全身法の方が総負荷量を多く稼げる可能性があります。
しかし、1週間の総負荷量が同程度確保できる状況(週5回トレーニングできるなど)であれば、分割法の方が比較的簡単に運用できるかと思います。
上級者向けのメニュー例
フリーウェイト/マシンウェイトは各自のトレーニング環境で選択してください。
※両方をやる必要はありません。
BIG3をメインとして、その前日に当たるメニューでは対象部位を刺激しないように構成しています。
万が一、トレーニングが週4回を下回ったとしても、一応全身は刺激できます。
トレーニング計画が常に週2~3回の場合は、中級者向けメニューと同じ内容から、各自のニーズに合わせて種目をカスタマイズしてください。
週4回以上の場合
Aメニュー
部位 | フリーウェイト | マシンウェイト |
---|---|---|
【脚】 | スクワット | レッグプレス |
【脚】 | ルーマニアンデッドリフト | シーテッドレッグカール |
【背】 | プルオーバー | プルオーバー |
【背】 | ワンハンドロウ | ローロウ |
【肩】 | アップライトロウ | アップライトロウ |
【腹】 | アブローラー | アブドミナルマシン |
Bメニュー
部位 | フリーウェイト | マシンウェイト |
---|---|---|
【胸】 | ベンチプレス | スミスベンチプレス |
【胸】 | ダンベルプレス | チェストプレス |
【脚】 | ブルガリアンスクワット | レッグプレス |
【肩】 | ダンベルショルダープレス | ショルダープレス |
【肩】 | サイドレイズ | ラテラルレイズ |
【腕】 | フレンチプレス | プレスダウン |
Cメニュー
部位 | フリーウェイト | マシンウェイト |
---|---|---|
【背】 | デッドリフト | – |
【背】 | ベントオーバーロウ | ローロウ |
【胸】 | インクラインベンチプレス | スミスインクラインプレス |
【胸】 | インクラインダンベルプレス | インクラインチェストプレス |
【脚】 | シシースクワット | ヒップスラスト |
【脚】 | カーフレイズ | カーフレイズ |
Dメニュー
部位 | フリーウェイト | マシンウェイト |
---|---|---|
【肩】 | バーベルショルダープレス | スミスショルダープレス |
【肩】 | インクラインサイドレイズ | ケーブルワンハンドレイズ |
【肩】 | リアレイズ | リアデルト |
【胸】 | ダンベルフライ | ペックフライ |
【胸】 | ディップス | ディップス |
【背】 | チンニング(懸垂) | ラットプルダウン |
【腕】 | アームカール | バイセップカール |
大会出場者の全身法について

分割法がオススメ
ボディビルなどコンテスト出場者の方は、分割法がいいと思います。
これはもちろん、各自のレベルや出場カテゴリーによっても変わります。
特にボディビルなどは、筋肉のディティール(細部)へのこだわりが必要になってきたりします。
全身法でそこまで細かな部分をカバーするのは、現実的に難易度が高めだと思います。
実際、上級者向けメニューでも腕のトレーニングなどはそこまでカバーできていません。
全体の筋肉量を増やすだけであれば全身法で良いでしょうが、細かな意味でのボディメイクには分割法の方が適していると考えられます。
全身法についてのFAQ
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超回復は待たなくていいのか?
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超回復理論自体、実はよく分かっていない理論です。
確かに回復は必要なのですが、例えば毎日のように練習をする競輪選手や陸上選手の脚は、完全休養が少ない割には非常に発達しています。
全身法の場合、一日当たりの対象筋への負荷は比較的大きくないのである程度回復ができ、彼らスポーツ選手と同じように筋肥大も起こるのではないかと期待されます。
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筋肉痛は残っていてもよいのか?
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パフォーマンスが落ちない程度であれば問題ないかと思います。
「重量」と「回数」に影響を与えるようであれば、休養を入れるべきです。
多少の違和感くらいの筋肉痛であれば、筋肉の大半部分は問題ないでしょうからルーティンを回しましょう。
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オールアウトできなくていいのか?
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重要なのは週当たりの総負荷量なので、その日にオールアウトさせる必要はありません。
完全疲労のパンプ状態で成長ホルモンが大量に放出されると分かっていますが、それが筋肥大には繋がらないことも明らかにされました。
ただし筋を疲労状態まで持っていく必要はあるので、少ない種目数でオールアウトを狙う姿勢は重要です。
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PPL法はどうか?
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PPL法は押す系(Push), 引く系(Pull), 脚(Leg)で3分割する考え方です。
上半身2分割&脚の分割法ですが、頻度を高く維持しながら、疲労のコントロールもしやすいやり方になると思います。
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スポーツ選手の場合はどうか?
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競技やシーズン、各自のニーズによっても変わってきますが、分割法で取り組む必要はあまりないかと思います。
筋力強化や筋肥大以外にも、やるべきことが多いのがスポーツ選手です。
そうなると、全身法で一気にやってしまったほうが、他の練習に必要な時間を確保できるかと思います。
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トレーニング時間が長くなるか?
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「全身の種目をやるからトレーニング時間が長くなる」と言われますが、そうでもありません。
分割法の内容をそのままに、全身法へと振り分けてトレーニングをしたところ、所要時間はほとんど変わりませんでした(筆者体験)。
ただしフリーウェイト種目については、分割法よりも使用できる重量が大きくなることで、セット時間や休憩時間が長くなる傾向にはあります。
その場合は、ウェイトスタックマシンやケーブルマシンを利用して調整することも検討しましょう。
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ダイエットにはどちらが良いか?
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全身法に軍配があがるでしょう。
腕トレだけ、肩トレだけみたいな日があるよりは、全身使っている方が代謝を高く保てます。
ただし毎回のように全身の筋肉を使うので、全体的な疲労感も大きくなりがちです。
再三書いておいりますが、疲労管理をしっかり行うことが大切です。
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週5以上の場合、Eメニューまで作ってもいいか?
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もちろん作ることは問題ありませんが、プログラミングが更に難しくなります。
やりたい種目がもっと多い場合でしたら、挑戦してみてもいいでしょう。
まとめ
各自の目的やライフスタイルに合わせて、トレーニングメニューを組んでいきましょう。
万人に適した完全無欠な方法など存在しません。
全身法の方が良いとか、分割法の方が良いとか、そういった白黒思考は極めてナンセンスです。
それぞれに一長一短がありますので、ご自身にとっての最善策を模索していきましょう。
- Schoenfeld BJ, Contreras B, Krieger J, Grgic J, Delcastillo K, Belliard R, Alto A. Resistance Training Volume Enhances Muscle Hypertrophy but Not Strength in Trained Men. Med Sci Sports Exerc. 2019 Jan;51(1):94-103. doi: 10.1249/MSS.0000000000001764. PMID: 30153194; PMCID: PMC6303131. ↩︎
- Ramos-Campo DJ, Benito-Peinado PJ, Andreu-Caravaca L, Rojo-Tirado MA, Rubio-Arias JÁ. Efficacy of Split Versus Full-Body Resistance Training on Strength and Muscle Growth: A Systematic Review With Meta-Analysis. J Strength Cond Res. 2024 Apr 9. doi: 10.1519/JSC.0000000000004774. Epub ahead of print. PMID: 38595233. ↩︎
- Mitchell CJ, Churchward-Venne TA, Bellamy L, Parise G, Baker SK, Phillips SM. Muscular and systemic correlates of resistance training-induced muscle hypertrophy. PLoS One. 2013 Oct 9;8(10):e78636. doi: 10.1371/journal.pone.0078636. PMID: 24130904; PMCID: PMC3793973. ↩︎